常識の範囲を超えて、リサイクルします。
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株式会社日本総合研究所 創発戦略センター 副主任研究員
赤石和幸さん (第一回・お仕事篇)

業界探訪インタビューの第三弾は、大手シンクタンク、日本総研の赤石さんの巻、その一です。赤石さんは入社八年目、その間一貫して環境分野で活躍して来られました。リサイクル・ピアと仕事上で直接の関わりはないのですが、広い意味での同じ環境業界に身を置く同志としての交際があります。ご多忙中、出張の合間にインタビューをお願いしたのですが、笑い声の絶えない雰囲気の中、熱い語りをたっぷりと伺うことができましたので、三回に分けてお送りいたします。今回の分では、現在のお仕事についてうかがいました。

第一回・お仕事篇 〜 ずっとゴミ一筋です!

シンクタンクというのは実際にどういう仕事をしている組織なんでしょうか?

シンクタンクというと国の政策立案というイメージがありますが、日本総研ではだいたい銀行向けの調査・SI などが全体の八割です。残りの二割で、政策提言をしたり調査研究をするわけですが、それだけに留まらずに、産業インキュベーションと言いまして、なにか新しい産業を作っていこうということに力を入れています。商社などと異なり、社会的に意義のあるもの、次世代に向けて国がこうあるべき、だからこういう産業があるべき、という視点を持っているのが特徴です。コンソーシアムという異業種が集まった勉強会をやりまして、その中で世界各地からビジネスのシーズを集めてきて、じゃあ日本に当てはめたらどうなるか、とか、日本の技術を使ってこういったビジネスはできないかとか、言うだけではなくて自ら事業会社を作ったりとか、そういうことをしています。

その中での赤石さんのお仕事は?

私のミッションはその中で環境分野がメインです。入社の時は、エコファンドとかもっとキレイな感じの環境をやれるのかと思っていて、入社時の面接でもそう言ったはずなのですが、「体力がありそうだ」と言われてゴミ担当になってしまいました(笑)。かれこれ入社八年になりますが、ずっとゴミ一筋です。最近たずさわっているのは嫌気性発酵で、最近は鶏糞だろうとか、豚糞だろうとか、ふっと香る匂いでどれかわかるんですよ(笑)。人間は鳥や豚よりも臭くないですが、牛よりも臭いと思います。鳥が一番臭いですね(笑)。

ゴミ一筋ですか!それは頼もしい(笑)

廃棄物でも、建設系廃棄物とか色々ありますが、私はもっとシモの方で、屎尿とか汚泥とかから始まりました。その後、入社して二年目から三年目位はずっと 一般廃棄物の民営化・PFIのコンソーシアムに携わり、自治体向けのアドバイザーをやったり、世界でのビジネス形態を調査したり、日本の産廃処理にビジネスとして参入していきたいという企業に戦略を作ったり、ということをやりました。自分としてはやっと乾きもののほうに行ったと思ったのですが、バイオガスという、シモのほう、屎尿や汚泥などの嫌気性発酵の方に戻ってしまいました。シモの方が性に合ってるのかもしれません(笑)。

バイオガスですか。実際にはどのようなことをされているのですか?

バイオガス・ネット・ジャパン - ロゴバイオガスについては 2005年からコンソーシアムをやっています。コンソーシアムというのは単なる勉強会ではなくて、あくまで事業化を前提・目的としたものです。それで昨年バイオガス・ネット・ジャパンというバイオガスの会社を作りまして、今は兼務でやっています。屎尿・汚泥などの廃棄物からガスを取って、それを販売しようとしているわけです。バイオガスというのは硫化水素や二酸化炭素など雑多なものが含まれているので、以前ならせいぜい燃やして終わり、というものだったのですが、我々は、ガスの精製技術を使って、そこからメタンガスだけを抽出することで事業化を目指しています。まさに「まぜればゴミ・分ければ資源」のガス版なんです。[図:バイオガス・ネット・ジャパンのロゴ]

どうやってメタンガスだけを抽出するのですか?比重でしょうか?

比重じゃないんです。どういうものかといいますと、磁石みたいなものです。ガスって色々混ざってるんですが、気体というのは、ある基材に圧力をかけるとくっつきやすい性質があるんです。硫化水素とか、要らないものを選択的にくっつけて、その間にメタンだけ通り越して回収します。次に圧力を下げると不要な気体は脱着して、と、こういうのを繰り返します。我々も世界各地でこの技術を探しまくったんですが、その結果、なんと日本にあったんですよ。もともと、空気の中から酸素と窒素を分離して酸素だけを供給する、という技術が実は昔からあります。これも同じ、くっつけたり離したり、という技術なので、これを応用しようという発想から入ったところ、まんまとうまくいきました。そうすると天然ガスですから、あとは使い方は自由、天然ガスが使われているシーンではほとんど使えるわけです。[写真:ガス精製設備内部]

なるほど、それでガスとしての製品の質が安定するわけですね。

そうです。スウェーデンなどでも、もともとは混合ガスベースで利用するというのがメインだったんですが、今はこのような精製技術がとても盛んになって、今はメタンストレートで使うインフラ整備を、ドイツなどとともに進めています。この分野の技術で一番力を持っているのが実は日本とアメリカです。だからそう言った日本の技術の世界展開を含めて考えていきたいと思っています。ただ、まずは日本で事業化しないといけないわけですけど。

バイオガスの事業化は順調ですか?

いくつかのサイトで実証もすでにしていて、データも取って、事業化のポイントは把握しています。ただ投資回収ということを考えると、ある程度の規模が必要なんですよ。今のところ、政令都市まではいかなくても地方の有力都市の下水処理場くらいの規模であればだいたい成立しそうだ、というところまではわかっていますので、今一生懸命マーケティングしているところです。導管接続、ボンベ詰めしての運搬などが考えられるわけですが、この辺の事情は水素と似ています。[写真:北海道の実証サイト]

水素ですか?

はい。水素も、水素社会とかあちこちで言われている割には、どうやって運ぶのか、管理するのか、などの課題は全然具体化していません。水素はプロパンと違って液体化しないので、LNGのように魔法瓶みたいな物に入れるのか、超高圧で運ぶか、しかないんですが、いくつか技術的なブレークスルーがあります。トヨタなどは超高圧、ただし軽量の FRPを使っています。後は活性炭を使ってくっつけておく、などの技術が出てきています。水素とメタンはよく似ているので、水素に技術的なブレークスルーがあれば、我々も便乗していきたいと考えています。

まず自動車や水素などの動向が定まらないといけないわけですか?

我々のコンセプトは静脈系の話です。静脈系が一からインフラを作ったり、一から技術開発しても成り立たないんです。何かに乗っかっていかなくてはなりません。ですから、下水処理場ですとか、色々なところに「使わせて頂戴」とお願いしているんですよ(笑)。

ただアメリカなどもかなり水素に力を入れています。技術的なポイントは見えているんです。くっつけて置く技術については日本の企業がかなり技術を持っています。日本には高圧ガス保安法というのがあって、高圧ガスの取扱には世界一厳しい制約があるのですが、この制約を技術的なブレークスルーによってうまくクリアできれば、世界各地で通用すると考えています。

なるほど。コーディネートするだけじゃなくて、構想も描いていくわけですね。

ホラを吹いているとも言えます(笑)。ホラばっかり吹いていると、足下の事業はどうなってるんだ、と言われますが(笑)。 事業計画を作ったり、技術の業務協定を結んだりとか、実務的なこともやっています。ですから、私の専門としては、廃棄物とか静脈系のものなのですが、実務的には契約とか事業計画を作ったり、アライアンスしたり、マーケティングしたり、とかその辺が自分のコアの力かな、と思っています。

仕事のやりがいはどの辺にありますか?

お客さんに喜ばれたとかそういう思い出よりも、自分のライフワークが見つかったなぁ、ということでしょうか。ゴミはもうヤダヤダと思ったこともあったのですが、ある時、シンクタンクというのは、商社と違って、世の中に仕組みとしてないもの、影に隠れているもの、どっちかというと負のところをプラスにする、といったところに醍醐味があるのではないかと気付きまして。実はシンクタンク自体が静脈産業じゃないかな、そうすると、ゴミってそれを体現してるな、と思ったんです。この瞬間、あ、ゴミはいいかも!と思えました。負のもの、お金にならなかったものを、プラスのもの、ビジネスとして扱えるものとして引き上げる、この辺が醍醐味です。

逆に、仕事で苦労するのはどんな点でしょう?

利害関係者との調整でしょうか。法律面をどうクリアしていくか、事業採算性をどう合わせていくのかとか、事業採算性が見えないと皆さんネガティブになるわけじゃないですか、その時に、どうやって、頑張ろうよ!ということをやり続けるか。この仕事の一番苦労しなくちゃいけない点というのは、ある程度「こうあるべき」という夢を語るんですが、常に現実とのギャップがあるんですよね。ギャップを埋められなくてはただのホラ吹きなんです。そこを、なんとかホラで終わらせずに、いかにギャップをぐーっと詰めるか、そこが力の発揮しどころ、ここは醍醐味でもあるのですが、やはり一番苦労するところでもあります。

でも、ホラ吹きにならない程度に夢を語らないといけませんよね。

そうなんです(笑)。それが難しい。まさしく今バイオなんかはこのギャップをぐーっと詰めるところに来てるんで、なかなか好きなテニスとかもできません(笑)。

[2009/03 - 第二回・プライベート篇に続く]

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データ:

株式会社日本総合研究所 創発戦略センター
ビジネスインキュベーションを標榜するシンクタンクです。

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ホームページ:http://www.jri.co.jp/thinktank/sohatsu/

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